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Iさん おすすめの本



職場の読書家Iさんに教えてもらったおすすめの本。
独断と偏見でチョイスしてもらいました(^ ^♪
少しずつご紹介してまいります!
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仏像と日本人
 
仏像と日本人 
碧海 寿広 著 
定価:929円 新書:255ページ 
出版社: 中央公論新社
 日本人にとって仏像とはどのような存在なのだろう。
日本中に仏像は無数にあるといっても過言ではない。身近の菩薩時にあるものから観光地の有名寺院のものまで千差万別である
。むろん信仰から生まれてきたこれら仏像でるが、博物館などで仏像を鑑賞している時などでは拝むという行為を忘れてしまうことが多い。
 本書は日本人が仏像とどの様に関わってきたのか歴史を辿って解説しているものである。仏教が渡来する飛鳥時代以来仏教文化の拡がりと共に夥しい数の仏像が作られ、江戸時代には巡礼や開帳(秘仏の一時的な公開)などが隆盛を極め仏像との関係が深まっていく。仏教との結縁を求めた信仰に基づく大衆の動きであるが、明治になると美術品という考え方が西洋から入ってきて、仏像との接し方が大きく様変わりすることになる。
 このあたりを本書では主要なテーマとして捉えている。仏像を美術鑑賞の対象として旅行記を書いた和辻哲郎の「古寺巡礼」に対し、あくまでも信仰の精神を大事とする亀井勝一郎の「大和古寺風物誌」との比較論。仏像写真の分野では土門拳、入江泰吉という、二人の人気写真家の相違をあげる。観光・美術・宗教との関連に論理を展開し、現代の我々の暮らしの中での仏像の有り様を探る。
 不信心の自分自身でも東寺講堂の21軀の仏像が織り成す立体曼荼羅の世界に浸ると安心感を覚えるのは先祖の血が為せるものなのか。



田舎教師
 
田舎教師 
田山 花袋 著 
定価:799円 文庫:320ページ 
出版社: 岩波書店
 近代文学と称される時代の本を読み返してみるとそこにはつい最近まであった古き日本が鮮明に描写され郷愁を覚えることが少なくない。ましてや藤村と共に並び称される自然主義の代表的作家花袋の作品となればなおさらである。花袋と言えば私小説を思わせる文体の登場として注目を浴びた「蒲団」が代表作としてあげられる。今回取上げた「田舎教師」はその2年後の明治42年に発表された作品である。
 物語は中学出立ての主人公清三が寒村の小学校の代用教員として赴任するところから始まる。進学する友人等を羨みながらも季節の移ろいと共に地域に溶け込み、淡々とした教員生活を送る。しかしながら、病魔が次第に主人公を襲い、遼陽陥落(日露戦争)の戦勝祝いの提灯行列が町中を行き交う中、孤独と絶望のうちにその短い生涯を終える。
 この物語の主人公は実在の人物がモデルとなっているとされ、その人物が書き残した日記から発想を得たという。一青年の薄幸な運命を綴る物語だが、明治後期の一地方の社会世相が活写されて、詩情豊かな作品となっている。それにしても、病気見舞いに顔見知りの人達がこぞって駆け付ける光景など何と優しい社会であったことか……。



小説の言葉尻を

 
小説の言葉尻をとらえてみた 
飯間 浩明 著 
定価:842円 新書:256ページ 
出版社: 光文社
 前々から気になるものの1つに「食べれる」「見れる」といったら抜きことばがある。テレビでもこのことばが使われた時には「食べられる」「見られる」と書き換えたテロップを流すことが良くある。と言うことはやはりら抜きことばはおかしいということなのか。ただ近頃ら抜きことばを使う人達が過半数を超えたとの統計もあるようで、この現実からすれば必ずしもどちらが正しいとはいい切れまい。
 この本は辞書を作る仕事に携わる筆者が小説の中で使われていることばの面白さに着目し、あらたな小説の楽しみ方を提案しているものである。
 冒頭のら抜きことばの事も文中に取り上げられている。普段何気なく使っていることばには、それぞれ変遷の歴史があることにあらためて気付かされる。ましてや使い方や意味さえも変わっていくことに、少なからず驚きを覚える。これからはも少しことばに関心を持ちながら小説を楽しみたいと思う。




漱石山脈

 
漱石山脈 
長尾 剛 著 
定価:961円 新書:320ページ 
出版社: 朝日新聞出版
 題名に引かれて読んでみると正に山脈と言える漱石の人的交流が何と広いことか驚くことしきりである。教員生活が長かった漱石だけに教え子はむろんのこと、人気作家だった故にファンも多く、これに人を拒絶しない漱石自身の人間的な魅力が加わって、居住には多くの人が集まるようになり、やがて「木曜会」なる会が結成され、これが漱石が亡くなるまで続くことになる。この木曜会のメンバーを中心に漱石山脈と呼んでいるものである。
 本書はその主要メンバーを紹介しながら漱石の人となりを浮き彫りにしているのだが、それにしてもメンバー達の顔ぶれが何と多彩であることか。若き日に漱石の影響を受けたこれらメンバーがやがて文化面やその他の分野において日本を支えていく人達になっていったことが大変に興味深い。個人的には芥川竜之介が漱石山脈の末席に位置づけられていることに興味を抱いた。
 型破りでユニークな面々が多かった門下生に対し、漱石がいかに向き合っていたかのエピソード満載であり、漱石に同情を寄せたくなるところも少なくない。ここまで漱石の心持ちを知るとあらためて漱石の小説がよみたくなる。


累ヶ淵

 
真景累ヶ淵 
三遊亭 円朝 著 
定価:950円 文庫:480ページ 
出版社: 角川書店
 円朝と聞くと怪談噺が想起される。幕末から明治にかけての落語家で近代落語の祖と呼ばれる人である。怪談物だけでなく
、人情物や外国の文学作品の翻案物を手掛けるなど多才な人であったようだ。鳴物や大道具を噺の中に取り入れたのは円朝が最初であったとされ、その技法は今回紹介の「真景累ヶ淵」にて完成を見たという。
 この真景累ヶ淵は新聞連載用として明治20年9月から21年3月まで全97回に渡って口述筆記により収録されたもので、これが当時単行本されており、本書の低本となっている。
江戸時代に流布した「累ヶ淵」の説話を下敷にした作品で円朝の代表作の一つとされ、古典的な評価を得ている。
 旗本深見親左衛門の金貸しの鍼医皆川宗悦を切り殺したとこを発端に両家の子孫が次々と不幸に陥っていく筋立てで、因果応報というおどろどろしさを強く感じさせる物語である。長いストーリーだけに登場人物の因果関係を見失い勝ちとなるが、エピローグまで来るとオムニバス化していた話が一挙に繋がり始め、あ然とする展開の中、これまでのうっ積が霧散するような安堵感を得る結末を迎える。


高く長い壁
 
高く長い壁 
浅田 次郎 著 
定価: 1728円 文庫:304ページ 
出版社: 角川書店
 浅田次郎の初の戦争ミステリー小説というキャッチフレーズを聞いただけで胸が高まる。しかも舞台は日中戦争最中の中国である。「蒼穹の昴」「中原の虹」といった清朝末期の歴史小説に酔いしれた読者からすれば再び中国物ということで見逃せない。
 長城の張飛嶺で警固の任務についていた第一分隊10名全員が死亡するという大事件がおきた。当局から要請を受けた従軍作家の小柳逸馬が現地に赴き真相究明にあたる。同行の川津中尉は目付役らしく何故かよそよそしい。憲兵隊の手に余る事件とは。真相が明らかになるにつれ、大義ない戦争に翻弄される兵士達の悲哀が浮き彫りになって行く。
 この小説の背景にある武漢作戦では日中戦争最大規模の30万人以上の兵力が動員されている。しかしながら広大な中国大陸での戦果は限定的で、むしろ軍中枢部の焦りを煽る結果となる。事態は次第に泥沼化し、やがて日本は太平洋戦争へと突き進んで行くことになる。
 上質なミステリーをお楽しみ下さい。 


冒険家
 
最後の冒険家 
石川 直樹 著 
定価: 691円 文庫:214ページ 
出版社: 集英社
 登山家植村直己がマッキンリー(正式名デナリ)で消息を絶ったニュースは衝撃であった。本書はこの植村の功績を称えて設けられた植村直己冒険賞の第5回受賞者である神田道夫の熱気球への執念ともいえる人生を描いたものである。著者は第1回目の太平洋横断のパートナーとなった冒険家の石川直樹氏である。
 神田は1988年に12910mの熱気球高度世界記録、1994年に2366.1キロの長距離世界記録、1997年に50時間38分の滞空時間世界記録を立て続けに樹立するなど熱気球の世界で瞬く間に第一人者となった人である。更には2000年にパキスタン東部ののヒマラヤ・ナンガパルバット峰(標高8125m)越えに成功、日本人初、世界2例目の快挙を成し遂げる。このことが評価されて前述の植村直己冒険賞を受けることになる。
 この後太平洋横断を企てることになり、2004年1月に第1回目の遠征が実行される。この遠征は失敗に終わるのだが、著者自身がパートナーだっただけにその時の状況は本の中で詳述されている。飛行開始から、フライトの状態、そして太平洋真っ只中での墜落、救助までの経緯等々その内容は驚きの連続で、正に体験者しか語れないものである。この本が第6回開高健ノンフィクション賞受賞作であることが肯ける。
 2008年1月第2回目の太平洋横断遠征が実行に移される。残念ながら単独飛行を余儀なくされたその無謀さ故か、神田はこの遠征で消息不明となり、いまだ気球もゴンドラも発見されていない。


民族で読み解く世界史

 
「民族」で読み解く世界史 
宇山卓栄 著 
定価: 1728円 単行本:312ページ 
出版社: 日本実業出版社
 人類の歴史は戦争の歴史だと言っても過言ではないくらいに現代においても世界各地で紛争が絶えることがない
。人種や宗教といった根の深い問題や、最近では米国のトランプ大統領が掲げたアメリカ・ファースト主義に基づく政策が貿易戦争という新たな火種を生み始めている。人間とは何故にかくも融和を嫌い、差別を好むのか不思議な生き物としか思えないところがある。
 本書は「民族」で読み解く世界史タイトルにあるように世界中の民族がどのような歴史を辿ってきたのか民族別に簡明に記されているものである。民族の違いは紛争の大きな火種の一つであり、これに宗教が絡むと原理主義的な考え方が加わってかなり複雑な様相を呈するところとなる。
 イラン人とイラク人とでは民族が異なると聞くと驚きであり、イスラエルのパレスチナ問題、クルド人の独立問題といった我々にはなかなか理解が難しい中東。中国のような統一王朝がヨーロッパでは生まれなかった理由。同じヨーロッパの植民地ながら南北アメリカが辿った大きな差異。主要4語族に分けられるアフリカの民族分布。ロヒンギャ問題を今に残す東南アジアの複雑さ。中国・韓国・日本の民族としての位置付け。等々現代の世界中の紛争問題が見えてくるようだ。


西部本

 
西部 邁  最後の思索 
「日本人とは、何者ぞ」
西部  邁、澤村  修治、浜崎 洋介 著 
定価: 1620円 単行本:309ページ 
出版社: 飛鳥新社
 保守派の評論家で社会経済学者の西部
邁氏が今年(2018年)1月に多摩川で入水自殺した。この自裁に絡み、自殺幇助の容疑で逮捕者が出たとも報じられていた。
 本書はTOKYO MXのトーク番組「西部邁ゼミナール」の特別企画(20回シリーズ)として前年に収録(放映)されたものを書籍化したものである。聖徳太子の飛鳥時代から現代に至る実に1400年間の日本及び日本人論を時代別に語っているもので、進行役の西部氏を中心に澤村修治氏、浜崎洋介氏の2人の文芸評論家を交えての鼎談という形を取っている。
 日本の歴史を思想の変遷で辿る構成が新鮮で、且つ博覧強記の3人が語る論説が鋭く明解でるあるため、まさに歴史を見直している感がある。
 時代を乗り切ってきた古人(いにしえびと)達の思いや生き様がダイレクトに伝わって来るものがあり、当然ながら現代の我々にも受け継がれているものを改めて確認することで失いつつある日本人のアイデンティティーが取り戻せたらと思う。



本 西太后 
西太后秘録 上・下
ユン・チアン  著 、川副  智子 訳 
定価 上・下とも各:1944円 単行本:上 298ページ、下 306ページ 
出版社: 
講談社
 米映画「北京の55日」や「ラストエンペラー」に登場した西太后(慈禧太后)は中国最後の統一王朝となった清朝260年余りの歴史の重みを彷彿とさせるがごとく、荘厳、華麗に描かれていた。
 武則天(唐代)、呂后(漢代)と共に中国三大悪女の一人として否定的な評価の多い西太后だが、毛沢東の死後に公になった厖大な中国語の歴史文献の研究が進んだことで、その実像はかなり違ったものであることが判ってきている。
 本書はこれら歴史家の研究資料をもとに、同時代の西欧人たちが残した日記、書簡、回想録などと検証しながら、西太后の実像に迫るもので、西太后を中国近代化の基礎を作った偉大な政治家であったと位置付けている。
 西太后は清の第9代皇帝の咸豊帝の側妃で、第10代の同治帝の実母でもあり、更には妹の子を第11代光緒帝として即位させたことで72才の生涯を閉じるまで権力の中枢にあった人物である。「アロー戦争(第二次アヘン戦争)」「日清戦争」「戊戌の政変」「義和団の乱」等々歴史の転換期の中で、清朝を再建すべく奔走した西太后の苦悩はいかばかりであったか。光緒帝崩御後に間もなく亡くなった西太后の遺言で、甥に当たる当時3才の溥儀が宣統帝(第12代)として即位するが、そのわずか3年後に清朝は辛亥革命で倒れることになる。」
 日本も大きく関わった清朝末期のドキュメンタリー、驚きの連続である。



逝きし世の面影
 
逝きし世の面影
渡辺 京二  著  
定価:2052円(ソフトカバー) 単行本:604ページ 
出版社: 
平凡社ライブラリー
 近代化は洋の東西を問わず封建的な因習・様式を瓦解していくのが必然であり、宿命でもある。日本でも明治政府が推進してきた西欧化策から急速に近代化がすすみ、古来の伝統は瞬く間に影を潜める様相を呈してきた。明治維新から既に150年も経過すると近代化以前の日本社会が一体どの様なものであったのか、全く判らなくなっている。
 本書は江戸末期から明治にかけて来日した西洋人が書き残した日本に関する多くの文献から当時の日本社会を浮き彫りしようとする試みのものである。
 筆者によれば当時の日本の知識人は西欧化に固執する余り、日本古来の伝統を軽視する嫌いがあり、彼等には日本そのものが見えなくなっていたことを指摘する。一方「エキゾティズム見慣れぬこまごまとした生活の細部に目を注ぐ。従ってそれはある文明の肌ざわりを再現することができる」と評価しており、異邦人の目が本質を捉えていると強調する。
 冒頭からこの時期に1つの文明が滅びたと断言しているように、現代の日本人が全く知らない世界がそこにはある。その失ったものの上に今の世の中があるとすれば、「温故知新」という言葉からして昔日の日本人に思いを馳せることもたまには必要なのでは。驚き満載の本である。
 


イモータル

 
イモータル
萩 耿介  著  
定価:886円 文庫:363ページ 
出版社: 
中央公論新社
 不思議な力を持つ「智慧の書」は迷える人の前に現れてその魂を救う働きがある。
 真面目なサラリーマンだが思うようにならない自分の人生に幾分嫌気がさしている主人公。一方自由奔放に生き15年前にインドで行方不明になった兄。この兄が残した「智慧の書」に誘われるように兄の失踪原因を探るべくインドに出向く。
 ここから実際に古代インドの智慧書「ウパニシャッド」の翻訳に関わった二人の人物を中心に壮大なドラマが展開していく。一人は18世紀末のフランス革命前後に実在した東洋学者、インド学者のデュペロン。もう一人は16世紀中頃のインドムガル帝国の皇子ダーラ・シコーである。
 エピローグは時空を超えて主人公自身が「智慧の書」に直接関わることになるが、内容については控えたい。
 なお冒頭に登場する「智慧の書」はドイツの哲学者ショーペンハウアー(1788年~1860年)の主著「意志と表象としての世界」であることを示唆している。ショーペンハウアーがデュペロン訳「ウパニシャッド」の強い影響を受けたことはよく知られている。
 古代インド哲学の一端に触れたような感じを受ける本である。


明治の文化

 
明治の文化
色川 大吉  著  
定価:337円 岩波現代文庫:398ページ 
出版社: 岩波書店

 武蔵国多摩郡深沢村(現五日市町)と呼ばれた戸数20戸ほどの僻村の朽ち果てた土蔵の中で発見された史料は維新当時の民衆意識を知るう上で貴重なものであった。その中からは人民憲法草案や希少な国会開設期限短縮建白書などが発見された。またこんな山村にどんなに学習熱や政治熱に沸き立っていたかを示す数百冊の書籍や幾つかの民権結社の規約やメモ類も同時に発見された。
 そして、これまで名前さえ知られなかったこれら憲法起草者や村の指導者がいずれも地域の農民や商人、小学教員といった民衆の生活と深く結びついた「平民」であったとことを筆者は驚きをもって語っている。
これら史料を踏まえて歴史家である筆者の研究テーマの1つでもある民衆意識からみる歴史考察を明治の文化としてまとめたものが本書である。
長きに渡った封建社会から解放された一般民衆の世の中への期待はいかばかりであったか。しかしながら、発見された史料から窺えるように藩閥専制政治に反対して立ち上がった自由民権運動もやがて鎮圧されていった経緯などからすれば、明治に入っても民衆は圧政に苦しめられていたようだ。筆者の天皇制に対する持論も絡めて近代日本の精神構造の全体的把握を追及しており、大正、昭和へと繋がる精神文化の変遷を知る上で、興味深い。


生存者ゼロ
 
生存者ゼロ
安生 正  著  
定価:810円 文庫:491ページ 
出版社: 宝島社

 14世紀にヨーロッパで流行したペスト(黒死病)、19~20世紀にかけて様々な地域で発生したコレラ、20世紀初頭世界を席巻したスペインかぜ(インフルエンザ)等々人類を襲うパンデミックの恐さは想像を絶するものがある。最近でも伝染力の強さと致死率の高さで世界を震撼させたエボラ出血熱が記憶に新しい。
 本書はフィクションながら、臨場感溢れる筆致からパンデミックの恐怖が身近に迫って来るような錯覚に陥る。
 厳寒の北海道根室沖、北太平洋上の石油掘削プラットフォームから始まった惨劇が、時の政府の無知、無策も災いして、或る日突然パンデミックの様相を呈す。
 何が起こっているのか判らない底知れぬ恐怖感、やがて実体が見えてくるにしたがい、身の毛がよだつ惨状に絶望感しかない虚しさが拡がっていく。35億年も生き続けている細菌、ウィルスを相手にたかだか500万年の人類が勝てる術は。
 身震いしながらの一気読みであった。


不死身の特攻隊
 
不死身の特攻兵
軍神はなぜ上官に反抗したか
鴻上 尚史  著  
定価:950円 現代新書:296ページ 
出版社: 講談社

 世界を震撼させた特攻隊は戦局が著しく悪化した1944年(昭和19年)10月25日海軍の「神風特別攻撃隊」の出撃から始まった。その2週間と少し遅れた11月12日に陸軍の「陸軍特別攻撃隊」が出撃する。この陸軍の1回目の特攻隊に「9回特攻に出撃して9回生きて帰ってきた」という稀有な行動を貫いた特攻隊員(佐々木友次氏)がいた。
 佐々木氏は戦後多くを語らなかったとのことだが、同氏に興味を抱いた著者の熱意もあって、92才で亡くなる直前の同氏への直接インタビューが実現。その内容が本書にまとめられている。
 百田尚樹氏の著作「永遠の0(ゼロ)」でも強く指摘されているように戦争は不条理を条理として押し進めてしまう残酷さを秘め、軍隊内では命令される側が常に多大な犠牲を強いられる側面を持つ。特攻はその最たるものであると思うし、命令する側の特攻はあくまでも志願であるとする形にこだわってきた姿勢は滑稽であり、憤りを覚える。
 特攻隊員の抵抗は一体どの様なものであったのか。人間を狂気に追い込む戦争の恐さが見える。


死を悼む動物たち

 
死を悼む動物たち
バーバラ・J・キング  著/秋山 勝 訳  
定価:1058円 文庫:388ページ 
出版社: 草思社

 欧州(EU圏)では豚が畜牛類を大きく上回る域内唯一の国だそうで、その数は2倍以上になるという
 豚の繁栄というよりは豚の受難を思わせる感がある。又、オランダで食肉処理場に新規制という記事があった。最近ハラールという言葉を良く見聞きする。イスラム法で許されている食べ物を指すとのこと。その教義に基づく食肉処理の手法に待ったがかかったという記事である。従来欧州では家畜を処分する際、事前に気絶処理することを義務付けているが、宗教上の処理においては家畜を適正に扱うという条件下で意識があるうちの処理方法を例外的に認めて来た。しかしながら動物に苦痛をもたらすという動物愛護の世論の拡がりが、この度の動きとなったようだ。
 こういった家畜との関わりのほか、昨今ペットの増加が顕著であり、人間と動物との関係は一層濃密なものとなってきている。ただ人間が動物を真に理解しているかという点においては疑問と言わざるを得ない。
人間は進化過程において死を悼むことを身に付けてきているが、はたして動物はそうではないと言い切れるだろうかという観点から語られているのが本書である。自然人類学者の多年渡る動物行動の研究から「死を悼む動物たち」が浮き彫りにされている。文中人間も動物に悲しみをもたらす存在であるといった記述には胸が痛む。動物の心にもっと思いを寄せることが必要なのだと思い知らされる本である。


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「アルケミスト」夢を旅した少年
パウロ・コエーリョ  著/山川紘矢・山川亜希子 訳  
定価:596円 ペーパーバック:1994ページ 
出版社: 角川書店

 表題のアルケミスト(alchemist)は錬金術師の意。錬金術とは黄金をつくり出す技術の追求とし、不老長寿の霊薬の調合と重なり合う中で、広く物質の化学的変化を対象とするに至った古代、中世における一種の自然学である。又、西洋・東洋を問わず、それぞれに宗教・哲学と結びつき固有の内容を持っているものである。
羊飼いの少年サンチャゴが夢に従って旅に出て、ついには錬金術の秘密を手に入れるという物語の中に、すべての金属を金に変える賢者の石と不老不死の霊薬を持つ錬金術師が重要な人物として登場する。
 作者のパウロ・コエーリョ(ブラジル)は世界中を旅しながら、精力的に執筆活動を続けている人で「星の巡礼」(87年)で注目を集め、翌88年刊行の本書が世界的なベストセラーとなる。夢を生きることの大切さを童話風のストーリーにまとめた本書は、サン・テグジュペリの童話「星の王子さま」に並び称されるほどの評価を得ている。
 人間が人間らしく生きていくには夢を抱き、その夢の実現に腐心していくことだと感じた。


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穂高に死す
安川 茂雄  著  
定価:972円 文庫新:424ページ 
出版社: 山と渓谷社

 かつて若者達の夢が駆け巡った山々がいつのまにか中高年層に席巻されて久しい。最近でこそ機能的でファッショナブルな登山ウェアに身を包んだ若人が散見されるようになり、山も幾分華やかさを取り戻した感がある。
 戦後の経済復興を背景に、一時期登山が大衆化し、ブームと呼べる様相を呈した。私もこの時期、毎年7月の声を聞くと、夏山シーズンだと心の中で呼びながら、慌ただしく登山準備に取り掛かる。そして新宿駅を午前8時丁度に出るあずさ2号に飛び乗り、混雑な車中ながら、これから始まる北アルプスへの山行に胸を踊らせていたものだった。
 本書は明治38年から昭和34年度までの近代登山の黎明期からピーク時にかけておきた山岳遭難の事例をドキュメンタリータッチで事故時の状況を克明に記したものである。我々大衆化時代の登山を違って揺籃期のそれはストイックとも言える異質な世界であった。初登頂、初登
という功名心にはやる余り、何と多くの有望な若者達が山の犠牲の上で近代登山が確立されてきたことなどを考えると、むしろ敬意を表すべきであろうとも思える。青春の煌めきを放ちながら山で逝った彼等の鎮魂として読みたい本である。


美術の力

 
美術の力 表現の原点を辿る
宮下 規久朗  著  
定価:1058円 新書:272ページ 
出版社: 光文社

 内外の逸品が展示会で気軽に見られるなんて嬉しい時代である。本書は日本で開催された美術展を例示しながら、ルネサンスが花開き長らく西洋美術の中心にあったイタリアを中心に美術の本質を語っているものである。
 その中では「画家の王子」と言われたティツィアーノ、自然主義を代表するアルチンボルト、西洋美術史上最大の天才ガラバッチョに興味が引かれる。一方日本美術界の項目では「最後の浮世絵師」と呼ばれる月岡芳年、欧米で人気の高い河鍋暁斎が目を引く。更には日本を去らざるを得なかった藤田嗣治をその原因となる作品を絡めて紹介しているところが興味深い。
 「真に優れた美術はつねに宗教的であり、美術と宗教とは実は同じものなのだ」と著者自身が語るように、美術は心の糧となるものであり、人生を豊かにするものであろう。又「美術を見るということは感性だけの営為ではなく、非常に知的な行為である」と述べており、より深く作品を理解するには相応の知識が必要だとしている。美術の力を多面的に追及している本書には意外な部分も多く含まれており、美術鑑賞が好きな方には楽しめる本だと思う。


神坐す山
 
神坐す山の物語
浅田 次郎  著  
定価:640円 文庫:280ページ 
出版社: 双葉社

 山登りをしていると神が居ると感じる時がある。御岳山(木曾)に登っていた時の事である。夜耒の雨があがり切らず、濃霧で視界が悪い中、単調な登りの連続で登山気分は萎えていた。喘ぎながらも頂上に大分近づいた頃であった。突然一条の光が射し始め、背中に暖かさを感じて思わず振り返ると眼下にはまるでスペクタル映画を見ているような光景が展開していた。山肌を厚く覆っていた霧が何かに引き込まれるように瞬く間に後退りし、天空では日差しに抗うごとき猛り狂っていた雲が次第に駆逐されて、やがて辺りは広い斜面に表出した緑の草原と済みきった青空が一体化した容相に一変した。こんな瞬間とも思える時間での大自然の躍動を目の当たりにすると神の偉業ではないかと想像したくもなる。
 前置きが長くなったが、本書の神坐す山は同じ御岳山でも読み方は「みたけさん」山域の広い奥秩父山塊の一画、奥多摩エリアに位置する。この信仰の山ではるか昔から神主を営む家にまつわる不思議な出来事が綴られている。この家が作者の母親の実家になるとのことで、登場人物は実名で書かれ、ストーリーもすべて実話に基づくものだとしている。
 同作者には代表作の一つである中国の清朝末期をテーマとした歴史小説「中国の虹」といった圧巻の作品があるが、一方本書のような古き良き日本、アメージングな日本を描いた作品も数多く、人気作家たる所以であろう。


雪冤
 
雪冤
大門 剛明  著  
定価:691円 ハードカバー:396ページ 
出版社: 角川書店

 ミステリーなのにこんなにも切なく、胸を締め付ける内容だなんて
ストーリー全体を貫く死刑制度や冤罪の問題を読者にも突き付けむしろミステリーの枠を超えている。重苦しいテーマを扱うが、全く予想だにしない展開とそのエンターテインメント性が救いとなっており、複雑に絡まった糸が1つにまとまるまで息がつけない。最後の最後までドンデン返しの連続といった印象で読み物として大変に面白い。
この本は2009年(平成21年)にスタートした裁判員制度の直前に書かれたものである。実際に裁判員に指名されて死刑判決に関わった場合どのような心構えで事に臨むのかを問うたものともみられる。誰にも関係する事柄だけに、このような本で一度考えておく必要があるように思う。
なおタイトルの「雪冤」は文字通り、無実の罪をすすぐことの意である。


君たちはどう生きるか

 
君たちはどう生きるか
吉野 源三郎  著  
定価:1404円 単行本ソフトカバー:320ページ 
出版社: マガジンハウス

 80年以上も前に書かれた本だが、今あらためて注目され、ベストセラーとなっている。タイトルからも連想されるように児童向けの人生訓といった内容だが、堅苦しさはない。少子化の時代になって子供の教育がより重要さを増していることが、この本が売れている背景にあるものと推される。
 父親を亡くした15才の少年に親代りとなる叔父が、人間としての生き方やものの見方、考え方などを折々にまとめた1冊のノートを介して諭していくストーリー展開である。このノートに記される叔父の伝えようとする気持が実に情熱的で且愛情豊かである。こんな人に子供時代に出会えたら幸せであろうと思わせてくれる。
 どう生きるかは大人でも大事なテーマであり、この本を読んでみると大切な事に気づかされるものがあり、児童書と簡単に片付けられないようだ。


おすすめ本 
ある奴隷少女に起こった出来事
ハリエット・アン・ジェイコブズ 著、堀越 ゆき 訳  
定価:680円 文庫:343ページ 出版社: 新潮社
 アメリカの奴隷制度はイギリスがバージニア植民地に初めて入植した直後(1618年)に始まり、南北戦争の終結に伴い批准されたアメリカ合衆国憲法修正第13条の施行(1865年)を以って事実上終わったことになっている。しかしながら、人種差別や偏見はその後も根強く残り、この状況の改善は公民権運動が起こる1950年代まで待たなければならないことになる。
 この本は奴隷制度真っ只中に生まれ、その半生を奴隷として苦しめられた黒人女性の自叙伝である。余りにもショッキングな描写から当初は実話ではなくフィクション(作者不詳明の)と思われていた為、注目を浴びなかったが、その後の研究により本人自筆の自伝であると判明したことで評価を得、出版から120年以上を経てベストセラーとなる経緯を辿っている。
 著者の過酷な体験を既に奴隷制のない時代の我々読者がどう感じるかは様々だが、絶望的な状況の中で筆者が文中で「残虐性というものは文明から見放された小社会(コミュニティ)で伝染する」と述懐しているところなどは人間社会の恐ろしさが何処にでも存在していることを想起させる言葉であると考えさせられる。現代社会が抱える問題も本質的には変わらないと考えるとノンフィクションで迫る本書は何らかの示唆を我々に与えているように思う。


本能寺の変431

 
本能寺の変 431年目の真実
明智 憲三朗 著  
定価:778円 文庫:345ページ 出版社: 文芸社
 歴史の定説には史実とは大きく異なるものが少なくないと言われる。当然ながら時の為政者の都合に合わせ改竄されることは避けられないことである。更には読本や芸能などで脚色が加えられ、事実は捩じ曲げられていく。
 本書は明智光秀謀叛の真想を当時の史料を徹底的に調べ上げた上で、再検証しているもので怨念説、野望説といった従来の定説とは大分掛け離れた結果には目を見張る。
 先達て放映されたNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の本能寺の変では本書で主張している説が多く採用されていたように思う。実は本書の著者は明智の子孫とのことで、先祖の名誉を挽回すべく思いでの成果からすると正に本懐を遂げたと言ったところであろう。
 筆者がエピローグで語っている日本の大東亜戦争の失敗は信長、秀吉と同じ轍を踏んだものと結びつけている考えは興味深い。


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奇想の系譜
辻 惟雄 著  
定価:1404円 文庫:275ページ 出版社: 筑摩書房
 奇矯(エキセントリック)で幻想的(ファンタスティック)なイメージの表出を特色とする画家を奇想の系譜として紹介している本書。その対象を江戸初期活躍の岩佐又兵衛・狩野山雪、中期の伊藤若冲・曾我簫白・長沢蘆雪、末期の歌川国芳の6人に置いている。今でこそ一般に良く知られているこれら絵師達であるが、この本の初版が出た当時(1970年)は専門家の間でも知名度は低く、作品に対する評価も芳しくなかったなどと知ると実に驚きである。
 実は本書がこれら埋没していた絵師達を再出させる契機となったと言われており、このことが作品群の海外流失に歯止めがかかるといった成果にも繋がっている。さすがに、日本美術史研究の第一人者の著書だけに、挿絵豊富に加え、絵師等の出自、来歴にも詳しく読み物としてのみならず、資料としての価値感も備わっている。
大分後になって出版された姉妹編の「奇想の図譜」(ちくま学芸文庫)では、日本美術の歴史には奇想性に大きな特徴があると持論を展開しており、併せて読むと更に面白いと思う。


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殺人犯はそこにいる
清水 潔 著  
定価:810円 文庫:509ページ 出版社: 新潮社
 本書は1979年から1996年までの17年の間に、北関東(栃木県、群馬県)で連続しておきた5件の幼女誘拐殺害(うち1件は行方不明)事件に焦点をあてたノンフィクションである。
 民放テレビ局のドキュメンタリー番組の企画で始まった取材から、この一連の事件の中で唯一判決確定している「足利事件」は免罪ではないかとの確証を得ていく。この経緯については本書の核心的な部分にも当たるので省略するが、著者等の無罪確証を裏付けとした執念とも言える取材報道がやがて司法を動かし「足利事件」の免罪を導き出すことになる。迫真に満ちた筆致からか有罪の根拠となっていたDNA型鑑定が疑問視されていく課程での警察の面子優先の対応には憤りを覚えてしまう程である。結論から言えば著者が願っていた「関東連続幼女誘拐殺人事件」としての再捜査への期待は時効を理由に阻まれ、すべての事件が未だ解決していない現実には何とも言い難いものがある。
 つい最近「袴田事件」の東京高裁即時抗告審に対する再審開始の可否が来年(2018)年3月末までに決まる見通しとのニュース報道があった。この事件も本書の大きなテーマの一つとなったDNA型鑑定の信ぴょう性を巡り長期化しているので、その動向が注目される。


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百人一首の謎を解く
草野 隆 著  
定価:799円 新書:224ページ 出版社: 新潮社
 以前ご紹介した「QED百人一首の呪」(高田崇史著)は謎多い百人一首に新たな解釈を絡めて殺人事件を解決するミステリー小説であった。当然ながら百人一首の各歌が文中にちりばめられていて、百人一首のお好きな方には申し分ない本である。
 今回ご紹介の本書は大学の先生の執筆になるもので、タイトル通り百人一首の謎を専門的な目から解析したものである。専門家だけに数多く世に出ている概説書や注釈書に精通し、それらを踏まえた上での独自の疑問点提示、その証明には大変に興味ひかれるものがある。
 それにしても、不幸な歌人の歌が多い。「よみ人しらず」の歌がない等々知らなかったことばかりで(周知だと言う人もいるかも知れないが)、百人一首の見方が大きく変わったと言えよう。


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花鳥の夢
山本 兼一 著  
定価:821円 文庫: 508ページ 出版社: 文藝春秋
 日本美術史上もっとも著名な画人の一人である狩野永徳の生涯を描いた作品である。
 御用絵師として基盤を固めつつある永徳の立場を脅かすごとく現れた長谷川等伯の存在が実に興味深く描かれており、特に永徳の父松栄の門で学んでいた等伯を、その画才に嫉妬した永徳が辞めさせた文中エピソードが面白い。「唐獅子図屏風」「洛中洛外図屏風」「聚光院障壁画」など現代に残る作品の評価からしても、その画業は当時から揺るぎないものであったと推量するが、職業画家集団を守らなければならない狩野派総師としての苦悩を形容するようなエピソードであろう。
 永徳代表作の数々が今そこで制作されているかのごとくの迫力ある筆致で描かれているので、長編ながら厭きることなく読める作品でる。なお等伯についてはその生涯を描く「等伯」(安部龍太郎著)を読まれることをお勧めする。


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QED百人一首宇の呪
高田 崇史 著  
定価:886円 文庫: 520ページ 出版社: 講談社
 高田崇史氏のQEDシリーズと呼ぶ日本の推理小説シリーズは本編に外伝2作を加え、全19巻が発表されている。主人公の桑原崇が事件と共に古文・歴史・人物に隠された謎を解く内容はシリーズを通して一貫している。本書はこのQEDシリーズ第一回目作品である。QEDとは数字、哲学などの証明の末尾に示し、証明終わりという意味を持ったラテン語を頭文字で表したものである。
 実はこのシリーズのことはこれまで全く知らなかったのだが、百人一首の呪というタイトルに引かれてたまたま手にしたもので、再版の様子から見て、かなりの人気シリーズであるらしい。百人一首は色々謎が多く、諸説が出ている中で、この本は殺人事件を絡めてのミステリーという形を取りながら、新説を打ち出しているところが、人気を得ている一因であろう。更には本好きが好むウンチクが網羅しているなどそれなりに読み応えもある。なお文中核として取りあげられている和歌の意味や作者のプロフィールを理解するうえで、自分自身は「原色小倉百人一首」(文英堂)を参考として並行読みしたことで、より面白さが増したものと感じている。


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日の名残り The Remaims of the Day
カズオ イシグロ 著 、土屋正雄 訳 、ハヤカワ文庫 
定価:648円 文庫: 227ページ 出版社:
 今年のノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人作家カズオ・イシグロの代表作である。
 物語はイギリス貴族に長年仕えた老執事の半生を描いたもの。時は流れて大英帝国の崩壊、貴族階級の没落を象徴するかのように老執事の雇主も大屋敷の新たな所有者となったアメリカ人の富豪に変わっている。
 大きな時代の変化と年齢的な不安も加わって失意の日々が続く中、新雇主の好意から生涯始めての旅行の機会を得る。この旅を通して華やかで自負心に満ちていた頃の記憶が語られていく。この旅の目的の一つにかつて恋心を抱いていた元女中頭との再会があり、この顛末故かそれまで揺るぎのなかった追憶の中身が徐々に変化する。
 遠い記憶を上質なビロードの肌触り感で語られる心地良さがあり、たまには自分自身の人生を振り返ってみることも大切だなと思わせてくれる。


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銀の匙
中 勘助 著  
定価:648円 文庫: 227ページ 出版社:岩波書店
 不思議な感覚を受ける小説である。子供時代の記憶は一体に朧げなものだが、ここでの子供の目で綴られている体験談は実に鮮明で色鮮やかである。子供の頃の感性がこんなにも豊かなものであったのかと、驚きとともに共鳴するところが多々あり、自分自身の幼児期、少年期の甘酸っぱい郷愁がよみがえるような気持になる。
 解説を書いた和辻哲郎(哲学者)も子供の心の細かい陰影の描写などは
実際驚嘆に価すると記している。
 詩人である中勘助の散文は詩的であり、正に走馬灯を眺めるような懐かしさが滲む文章に魅せられる。
 尚、中勘助(東京出身)は一時期静岡市(葵区羽鳥)に疎開していたことがあり、同市葵区新間には文学記念館が設けられており、当地ゆかりの人物であることは良く知られていることろである。


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破 壊
島崎 藤村 著  
定価:972円 文庫: 440ページ 出版社:岩波書店
 日本社会の暗部と言える賤民問題を真っ向から取り上げた藤村の「破壊」が書かれていたのは1905(明治38)年であった。明治4年の法施行により賤民は廃止されている訳だが、封建社会の身分制度に根付いた社会意識を変革することは容易ではないことがこの本からも見て取れる。
 出自に悩む主人公瀬川松の意を決した教壇上での告白のシーン、それに伴う教員辞職、米国への渡航と社会からの逃避しか選択肢のない結末に胸が痛む。
 人種、民族、宗教等々の問題で世界中で紛争が絶えず、最近では米国の白人至上主義の台頭による事件発生、更には日本でのヘイトスピーチといったものまで人間が本質的に持っている差別意識が保身から生じるものとは言え、実に罪深いものであることを本書にて再確認したい。


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野火
大岡 昇平 著  
定価: 464円 文庫: 182ページ 出版社: 新潮社
 「日本は開戦から半年、持っても1年は優勢を維持することができる
が、それ以降は米国等連合国の国力が日本を圧倒するであろう」これは山本五十六が戦前に語った言葉である。
 日中戦争の行き詰まり打開で始まった太平洋戦争は当初から勝機の見通し薄く、開戦自体が無謀であったとされる。この結果、戦場で兵士達を待ち受けていた運命は筆舌に尽くし難い残虐、悲痛なものであった。
 この小説「野火」は太平洋戦争の激戦地の一つとなったフィリピン・レイテ島を舞台に主人公「私」こと田村一等兵が、敗戦真っ只中絶望的なまでの状況に追い込まれていく姿を克明に描いているものである。
 ここで語られている驚愕のストーリーが小説だと片付けられないのが
実に切なく、戦争の不条理について改めて考えさせられるところである。


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思考の整理学
外山 滋比呂 著  
定価: 562円 文庫: 223ページ 出版社: 筑摩書房
 近頃シンギュラリティという言葉が目につく。コンピューター社会の1つの特異点である「人工知能AIが人間の能力を越え、人類の存在意識や社会のあり方が大きく変わる日」を概念として使っている言葉らしい。シンギュラリティを辞書で引いてみると奇妙(なもの)、異常(なもの)
、非凡、ブラックホール等々決して穏やかとは言えない意味が並んでいる。
 何となく不安視もされるような未来社会だが、一方「AIそのものは新しい価値や成長を生み出すわけではない。イノベーションを起こすには新しい価値や社会制度の変革が必要であり、それは人間にしかできない。」という考え方もある。
 とすれば人間はやはり人間らしい思考能力を駆使してAIに立ち向かっていかなければならない。では思考能力を高めていくにはどうしたらいいのか。まさにこの難題を解決するには本書が最適だと思い紹介に到った。
 要約すれば思考の集積(突然頭に浮かんだものは極力メモに取る)、整理、熟成といった一連の作業を繰り返すことで、創造的思考を生み出す手法である。クリエイティブな仕事を強く求められる現代社会人にとっては藁にもすがる内容だと思う。無から有は生まれないが読後実感である。 


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曾根崎心中 冥途の飛脚 心中天の網島
近松門左衛門 著 / 諏訪春雄 注釈 
定価: 907円 文庫: 302ページ 出版社: 角川学芸出版
 近松の人形浄瑠璃のうち世話物と言われる代表作三篇を集録。あらすじ、現代語訳、底本(脚注付)で構成されており、江戸時代の文体や言語が理解し易い形を取る。義太夫語りの底本は現代人には判りづらいものだが、詳細な脚注がそれをカバーしている。
 「曾根崎心中」(お初と徳兵衛)
 「冥途の飛脚」(梅川と忠兵衛)
 「心中天の網島」(小春と治兵衛)
 いずれも実際にあった事件を近松が脚色したもので、商家の主や店者が遊里の女性と恋仲に陥ることで、悲運(心中)に追い込まれる話がテーマである。江戸時代は飢饉の多発などから庶民の生活が困窮し、心中が流行するといった社会現象が起きており、時代を反映させた作品であったようだ。
 この近松の悲恋物は日本人の心に深く根差し、現代においても文楽、歌舞伎で繰り返し上演されており、我々にも馴染み深いものとなっている。こんな本を読んでから劇場に足を運べば義太夫で泣けるかも。


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岡倉天心「茶の本」をよむ
田中 仙堂 著 
定価: 1264円 文庫: 376ページ 出版社: 講談社
 西洋列強に負けじと国威発揚に務めていた時代、日本文化を英文で世界に紹介する本が相次いで登場する。その代表的なものが「武士道」(新渡戸稲造)、「茶の本」(岡倉天心)、「代表的日本人」(内村鑑三)である。
いずれも後に日本語の訳本が出版されて日本人にも広く読み継がれており、日本文化紹介の三大名著と位置付けされている。
 本書は現代茶道界を代表する一人の田中仙堂氏が天心の「茶の本」を
読み取る形で出版した新書である。西洋との比較論を展開する中で茶道を日本の宗教だと断言する天心の考えを田中氏が専門家側からの目で読み解いており、資料的な価値も加わって原典をさらに興味深いものに発展させている。ボストン美術館の東洋部長もつとめた天心の日本を文明国として認めさせたいとする強い思いが全篇を貫いている。


Iさんおすすめの本 バックナンバー


おそろし 
三島屋変調百物語事始
宮部 みゆき 著 
定価:778円 ペーパーバック: 489ページ 出版社: 角川書店
 人間の身勝手な思惑(恋心)が思いも掛けない悲劇を生じるという事件から始まる三島屋変調百物語。
 眼前でおこった惨事の衝撃からかたくなに心を閉ざす主人公おちか。そのおちかの心を癒す意図から叔父である三島屋伊兵衛が仕組んだ百物語。おちかを聞き手とし「悲しみ、苦しみ、罪を背負う者はおまえだけではない。」と伝えようとする。
 本書はおちかの事件であり、百物語の軸となる「邪恋」(道にはずれた恋) を含め5篇で構成。シリーズ化し、既に本書の外「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」が刊行されている。 人間慈愛が染み出ている宮部みゆきの怪談話、それだけに読後も心に残るものが多い。人間が信じられないと感じる時が少なくない昨今こんな本で心を暖めてみては如何でしょうか。
掏摸(すり)中村 文則 著 
定価:1404円 単行本: 175ページ 出版社: 河出書房新社
 スリという反社会的な行為にも拘わらず、その一連の動作は実にスリリングでむしろ快感を覚えてしまう。むろん作者の筆力もあるのだが。
 このスリを生業とする主人公が友人とのしがらみから得体の知れない組織に翻弄されて行く。子供の万引きから知り合った親子を人質に命を賭する羽目に。主人公の心理描写がストーリーに深みを持たせながらラストまで息を詰める展開である。なお主人公の生死は本書では語らず、兄妹編とされる「王国」に委ねている。
 海外でも注目されたように印象の強い作品である。
代表的日本人内村 鑑三 著 / 齋藤  慎子 現代日本語訳
定価:1512円  単行本 240ページ  出版社: 報知出版社
 以前紹介した新渡戸稲造の「武士道」同様本書も同時期に欧米向けに英文にて出版されたものである。作者の内村鑑三は札幌農学校(北海道大学の前身)時代 新渡戸とは同級の間柄で同氏を終生の友とした。
 農学校在学時代にキリスト教に入信。従来の教会的キリスト教に対し、無教会主義を主唱したキリスト教思想家である。そんな思想背景を持った内村が心酔したのが西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人。いずれも清廉潔白な生き方ををした偉人達である。
 自分自身をきびしく律し、並みはずれた信念の強さが人々に感銘を与え、やがては世の中を変える程の偉業を成すという共通したストーリーに感動を覚える。貧困層の拡大といった格差がすすむ現代の日本社会を見て、これら偉人達はどんな思いをいだくのだろうか。
応仁の乱呉座 勇一 著 
定価:972円  新書 302ページ  出版社: 中央公論新社
 京都の西陣(東西に分かれた二大陣営のうち西軍が陣地を張ったことが地名の由来)に名を残すほど「応仁の乱」は日本史上最大の内乱の一つであった。ただ「人の世むなし応仁の乱」(1467年)の語呂合わせで無理やり覚えた年号だが、事件の中身については
意外に判っていない。そんな訳で、そのタイトルに惹かれたことと、受験勉強の懐かしさもあって読んでみた。
 強く印象に残ったのは権力の中枢が弱まるといかに国や組織が乱れるかということである。将軍の権力の低下や失政も原因して管領家の単なる内紛が、天下を2分する程の大乱にまで拡大。終息するまでに実に11年もかかることになる。この間の生き残りを
かけた大名等の合従連衡はすさまじく、現代の中東の紛争を連想させるものがある。
 乱後はおなじみの戦国時代に突入していくことになる。乱前の動向を含めた国内事情が大変に良く判る本で戦争とは何ぞやと考えさせられる内容である。是非一読を。
日本人の英語マーク・ピーターセン 著 
定価:799円  新書 196ページ  出版社: 岩波書店
 “ 上野動物園のパンダ ” を英語にすると以下の3つの形になる。
1.the pandas of Ueno Zoo 2.Ueno Zoo’s Pandas 3.Ueno Zoo Pandas
 この違いが判りますか。 
日本語の「XのY」を英語で表現する時、「Y of X」にするか「X’s Y」にするか迷いませんか。実は上記2の形が一番所有感が強く、1は単なる所有、3は特別なと言うニュアンスがあることを知っていれば迷いは払拭(Keep away)です。
 日本人の書く英語は文法に余り間違いはないが、英文を支える基本的な論理や感覚が判っていない為、ちぐはぐな文章になることが多いと筆者は指摘する。 ネイティブから見たおかしな日本人の英語の本。笑いながら読んでみて下さい。実感しますよ。
武士道新渡戸 稲造 著 / 奈良本 辰也 訳・解説
定価:単行本1162円 文庫535円  出版社: 三笠書房
 日本人の精神的・道徳的支柱は「武士道」にあると内外に知らしめた教育者・思想家  新渡戸稲造の名著。
 もともとは欧米人向けに英文で書かれたもの。初版は明治33年(1900年)米国。当時日清戦争に勝利するなど、東アジアで抬頭する日本への関心の高まりもあり注目を浴び、世界的なベストセラーになる。後に日本訳語版が出版され、日本人に対して「武士道」という概念を改めて再確認させる指南書となっている。
 近代日本発展の原動力となった「武士道」だが、バックボーンであった封建社会の崩壊以上に、太平洋戦争の敗戦に伴うその精神の希薄化は更に深刻だと訳者は語っている。もしかしたら、現代の過労死、いじめ、DV等々の社会問題の増加はこのあたりが
起因しているのではないかと自分自身は感じるのだが……
墨東奇譚永井 荷風 著
定価:540円 文庫 196ページ 出版社: 岩波文庫
 永井荷風の最高傑作とされる作品。小説家である主人公 大江匡と娼婦お雪との出会いと別れを私娼窟 玉の井を舞台に情緒豊かに描く。この主人公 大江は永井の分身とされ、玄人筋を中心とした女性遍歴で有名な作者だけに、別れの場では女性への愛惜の情が執拗に出ていて興味深い。この作品は昭和11年の脱稿になるもので、実際にあった玉の井の風景が永井のノスタルジーを醸す文体で浮彫りされ、更には木村荘八の挿絵が気運を高める。この時代に ‘一寸だけ’ タイムスリップしたいと思うのは私だけだろうか。
能・文楽・歌舞伎ドナルド・キーン 著  、吉田 健一、松宮 史朗 訳
定価:1350円 文庫 400ページ 出版社: 講談社学術文庫
 世阿弥が、近松が、藤十郎が身近に感じる。体系的に描かれた能・文楽の世界を堪能しながら同時に日本の伝統芸能の流れも理解させてくれる。歌舞伎を含めた日本の演劇論にも及びその内容は圧巻の一言に尽きる。
 日本をこよなく愛した著者ドナルド・キーン氏。日本文学と日本文化研究の第一人者でもある。本文中の氏の講演の中での話しで、演劇の新しい時代が始まったのはアーサー・ミラーではなく、近松からだとする説には目を見張る。近松はミラーよりも240年以上前に現代劇では当たり前となっている一般庶民をテーマにした脚本(浄瑠璃・歌舞伎)を既に書いているのである。
陰翳礼讃谷崎 潤一郎 著
定価:514円 文庫 213ページ 出版社: 中央公論新社
 失いつつある日本的な美に思いを寄せながら独自の美意識で語る随筆集。表題作の陰翳礼讃では日本は翳(かげ)の文化だとし、西洋化に伴う、電燈の普及などから美的感覚が大きく変化していることを嘆く。戦前の作品ながら、或る意味日本文化の本質を捉えていることもあって、現代の我々にも共感する所が多い。グローバル化で薄れ行く日本人のアイデンティティーを再確認するのに好適な本とも言えそうだ。


罪の声塩田 武士 著
定価: 1782円 単行本: 418ページ  出版社: 講談社
 父親の遺品の中から見付かった一冊の黒革のノート、物語はここから始まった。
読み進める内に或る事に気付く。そう実際の事件に似ていると。30年余前に関西
圏でおこったグリコ、森永事件。迫真のストーリー展開により次第にこの未解決
事件とフィクションとの区別がつかなくなる。現在と過去が交錯しながら、正に
実際の事件が解決していくような錯覚に陥る。
古寺巡礼和辻 哲郎 著
定価:972円 文庫287ぺージ 出版社:岩波書店
哲学者 和辻哲郎がおよそ100年前に奈良の古寺を訪れた時の印象記。著者の仏教
美術における造詣の深さと卓越した識見により、第一級の観光案内書ともなって
おり、現在まで読み継がれている所以でもある。奈良再訪の折には是非お供に。
今までの古寺探訪とは全く違ったものになること請合いである。
若 冲澤田 瞳子 著
定価:1728円 単行本358ページ 出版社:文藝春秋
 多彩な作品群で近年注目を集める若冲。京都の青物問屋の跡取りとして生まれ
た若冲がどの様にして華麗なる作品を産み出してきたのか、その生涯を含めてよ
く判る。天才とはこういう人物を言うのだろうか。
ビブリア古書堂の事件手帳 7~栞子さんと果てしない舞台~
三上 延 著
定価:702円  出版社:メディアワークス
 稀覯本ミステリーとして人気のある本書。今回はシリーズ始めて洋書が登場。
全編を通して一冊の世界的希書の真贋騒動を主テーマに練られた構想でストーリー
を展開。2年余を経て発刊されたシリーズ7作目、完結編でもある。
カムイ伝講義田中優子 著
定価:文庫 1080円、単行本 1680円  出版社:ちくま文庫
ゴミ問題が深刻化する現代社会、化学物質の有無という違いはあるにせよ参考と
すべきところが多々あろう。是非ご一読を。
土 長塚 節(ながつか たかし) 著
定価:680円(税込) 文庫:361ページ 出版社:新潮文庫
 贅沢を戒めるため娘に読ませたいとした漱石の推薦図書。
100年前の茨城の農村が舞台。農民文学の代表作品。
六の宮の姫君 (円紫師匠と私シリーズ第4作)北村 薫 著
定価:626円(税込) 文庫:283ページ   出版社: 東京創元社
芥川竜之介の短編をめぐって推理するだけの話だが、種々の本
の紹介や芥川の畏友である菊池寛との関係も興味深く本好きには
堪らない一書。
最後の秘境  東京藝大  天才たちのカオスな日常二宮 敦人著
定価:1,512円 単行本:288ページ 出版社:新潮社
全く知らなかった藝大の世界。浮世離れした藝大生のその凄さ。
芸術は金がかかるが実感。
ビック・ファット・キャットの世界一簡単な英語の大百科事典向山淳子/ 向山貴彦/ たかしまてつを/ studio ET CETRA   
定価:1,404円(税込) 単行本:171ページ 出版社:幻冬舎
英文てこんなに簡単なんだと思わせてくれる本。獰猛なファッ
ト・キャット(太猫)のイラストもキュート (^ ^)
本書も昨今の英語攻略本に見る多読を必須とする。


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